今日は別所温泉の下にある「西行の戻り橋」を撮ろうと思った。別所温泉駅すぐ下の信
号を左折し、湯川を渡って少し行ったところで車を停めた。もう少し先に行ったところに先週行った蕎麦屋「み田村」がある。観光地図によるとこの下にあるはずである。ところが行ってみると何の変哲もない橋しかない。白いガードレールがついた小さな橋で、名前も立札もない。どうもこの橋ではないようだ。誰かに聞こうにも近くに人はいない。諦めて別所温泉へ行く。相染橋横のいつもの場所に車を停める。
花屋旅館の横の白壁の道を通って上にあがる。この道はなかなか雰囲気がいい。「ゴブリン壁紙」としてブログにアップしたのはこの坂道の写真である。白壁の先は板塀になっている。これも風情がある。大湯の前の通りに出る。右に曲がって、北向観音の方へ行く。駐車場横にある水車小屋と「足湯ななくり」の写真を撮る。「ななくり」の横の道を通って湯川の方に下りる。そこで湯川の写真を撮る。温泉街を流れる川だから湯川と名付けられたんだろう。コンクリート張りの川だが、不思議と風情もある。北向観音の石垣を下から撮る。上田城より立派な石垣だ。細い道を進むと参道に出た。ついでなので北向観音まで行って写真を撮った。考えてみれば、まだ別所温泉をデジカメで撮ったことはなかった。当たり前すぎて、また何度も来ているので、写真をとる必要を感じなかったのだ。観光客のような感じで写真を撮りまくる。参道を戻り、湯川沿いの道を上がる。坂道の突き当りにある柏屋別荘の写真を撮る。ここは確かに「千と千尋の神隠し」に出てくる湯屋に似ている。湯屋の下を走る水上電車は別所線がモデルだという説もある。こちらも確かに似ている。
突き当りを右に曲がってさらに坂を上る。途中で道が分かれているが、湯川に沿って道を上り続ける。こっちの道は初めてだ。思いがけなく蕎麦屋「おお西」を見つける。こんな所にあったのか。写真だけ撮って、安楽寺の方に曲がる。もちろんこちらもはじめて通る道。こんな道があったとは。安楽寺にも上ってみた。料金所のところまで行き、引き返す。もう何度か見ているので中には入らなかった。写真はまたいつか撮ればいい。階段を下りて蓮池の前を通り、すぐその横にある山宣の碑を撮る。横を何人もの人が通るが、誰もここには気づかない。観光地図に載っていないからだ。政治的理由からだろうか。有名な上田自由大学があった土地柄にしてはあまりに情けないではないか。
そこから横道に入り、「風の坂道」へ行く。お気に入りのベランダ席には先客がいたので、写真だけ撮る。常楽寺の方へ向かう。しかし常楽寺へは行かず、途中で右折して別所神社へ行く。ここは前にも1度来たが、その時も今回も誰にも会わなかった。森閑とした異空間。狭からぬ空間を独り占めにできるのでここは好きだ。神楽殿にあがり温泉街を見渡す。残念ながら木が邪魔で一部眺めが遮られている。20分ほどいて戻る。愛染閣(日帰り温泉施設)向かいの自販機で冷たいものを買って一休み。目の前の七苦離地蔵堂の写真を最後に撮る。これは確か5、6年前に建てられたものだ。あまりに新しくてありがたみがないせいか、別所温泉の観光地図には載っていない。帰宅後ネットで調べてみたら、別所温泉(信州最古の温泉)は古くは「ななくり(七苦離・七古里)の湯」と呼ばれたという。七つの苦しみから離れられるという意味のようだ。その古名にちなんで建てられたものらしい。上記の足湯が「ななくりの湯」と名付けられたのも同じ理由である。
「西行の戻り橋」のこともネットで調べてみたら、何と西行の戻り橋は相染橋の別名だとあるではないか。車を停めた駐車場のすぐ横の橋だ。僕が参照した「信州の鎌倉西塩田・別所温泉ごあんない」というガイドマップでは全く違う場所になっていた。これではいくら探してもないはずだ。とんでもない間違いだ。西塩田地区振興会/観光部制作となっているが、地元で作っていてもこんな間違いがあるのか。
「西行の戻り橋」だけを撮るつもりだったが、思わぬ別所散策になってしまった。水辺探索の次のターゲットとして考えているのは鹿曲川(かくまがわ)。千曲ビューラインを走っていて気になった川だ。佐久市、東御市を通って千曲川に注ぐ川。御八城大橋からは雄大な渓谷美が眺められる。期待できそうな川だ。来週行ってみる予定。
2007年7月8日執筆