柳町を歩く

 月曜日に柳町界隈を散策した。原町の駐車場に車を停め、柳町へ向う。ここは古い街並みが残っていることで有名なところだったが、最近だいぶその面影が薄れたと言われている。以前はよく映画のロケ地にも使われた。金田一耕介(石坂浩二)もここを駆け抜けた。しかし最近は以前ほど使われなくなったと思う。そのせいかまだ写真を撮りに行っていなかった。有名な「蔵屋」で食事するつもりだったが、2時を過ぎていたので既に閉まっていた。向かいの「ルヴァン・ターヴル」も閉まっていた。「おお西」が開いていたのでそこに入る。ここは有名な蕎麦屋だが値段が高いので入ったことはなかった。



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 古い蔵を改造した店で、雰囲気はいい。店内は薄暗くてゆったりできる雰囲気だ。釜揚げそばを注文する。僕はうどんが好きなのだが、有名な蕎麦屋でうどんを注文するのも嫌味だと思ってそばにした。味はまあまあだった。しかし量が少なくて物足りない。正直言って、満足度からすると値段が高いと思った(確か1050円だった)。



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 ルヴァンからおお西にかけての短い通りが一番絵になるところだ。岡崎酒造、ルヴァン、森文、蔵屋、おお西と有名な店が両側に並んでいる。おお西横の十字路には有名な保命水がある。上田は全国でも有数の少雨地域で、しかも井戸水が飲み水にあまり適さない。そこで飲み水確保のために海禅寺前の湧水から水を引いてきたのがこの保命水である。今でも勢いよく水が流れている。そこを北側(山側)に行くとすぐ矢出沢川に出る。そこに架かっているのが神宮橋である。橋の両端の4箇所に灯篭が立っており、欄干には擬宝珠(ぎぼし)が付いている。小ぶりだがなかなか姿のいい橋だ。



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 また保命水のある四つ角に戻る。この四辻はとてもいい雰囲気だ。特に保命水から武田みその直売所「菱屋」のある側を見たときがいい。こんどは「菱屋」の前を通って奥まで入ってみる。すぐまた橋があった。こちらは蛭沢川にかかっている。蛭沢川は神宮橋のすぐ上流側で矢出沢川から分かれている。つまり矢出沢川の支流だ。川と言うより水路と言った方がいいかも知れない。それはともかく、この橋は木肌そのままの色なのだが、どういうわけか緑橋という名前が付いている。まだ新しい橋に見えるので、比較的最近になって架け替えたのかもしれない。その前に架かっていた橋が緑色だったということではないか。



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 緑橋を渡りさらに先へ行く。この通りは旧北国街道である。上田宿があったあたりだ。今も白壁の蔵作りの家が多い。しばらく行った四つ角のところで「武家屋敷」と書いた標札のようなものが目に入った。標札には次のように書かれていた。「この南北にのびる通りを藩政時代、上田藩の米蔵があったことから『蔵前町』と呼んでいる。藩の食料をあずかる重要な地点に配された侍の屋敷の当時の面影をよく残している。」しかし残念ながらそんな面影があるとは感じられなかった。ただその標札が立っている壁がボロボロになって穴も開いているので、あるいはそれを指して言っているのかも知れない。由緒ある壁なので直すに直せない、そういうことだろうか。近所の人に聞かないと分からないが、あいにく誰も通らなかった。



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 その角を左折して南の方に向かう。途中枝道に入り込みながら進むと安藤病院の近くに出た。病院の横の細い道に入る。この一角には初めて足を踏み入れた。ユニークな建物が多い。しばらく進むと突き当たりになる。T字路になっているので右折した。その先の路地が面白かった。どこか懐かしさを感じる路地だったのである。家並みが古いというのではない。結構新しい家も少なくない。それでいて独特の懐かしさを感じさせる雰囲気がある。言葉で表現するのは難しいが、子供の頃愛読した江戸川乱歩の少年探偵団シリーズに出てくるような感じを受けたのだ。冬で日が低いために、通り全体が翳っていたせいもあるかもしれない。写真ではその雰囲気が全く伝わってこないのが残念だ(パソコンで見て拍子抜けした)。とにかく不思議な一角だった。



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 その道を抜けると消防署の横に出た。消防署の隣に立派な門と壁を構えた家がある。かなり古いものだろう、壁などは長年の風雪に耐えてきた荒々しい風格があった。消防署の前を通り、清明小学校裏の細い道に入る。ここも初めて通った道だ。いかにも裏道という感じの通り。しかし小学校を過ぎると普通の住宅街になり、なかなかいい雰囲気になる。まっすぐ進むと振り出しの原町駐車場に出た。ぐるりと一回りしてきたわけだ。柳町も良かったが、初めて踏み入る道も新鮮だ。一体どこに出るのだろうという期待もあってわくわくする。「武家屋敷」の標札のような思わぬ発見もある。谷根千も素晴らしいが、わざわざ遠くまで出かけてゆかなくたってこんな近くに素晴らしい町があるではないか。不思議の町上田。当分路地裏探索はやめられそうもない。



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